道州制と首長公選/広域的な住民自治がカギだ
河北新報の記事によると
「都道府県を全国10前後の広域自治体に再編する道州制について全国知事会は、道州の首長を選ぶ方法として現在の都道府県知事と同じ直接公選が望ましいとする中間報告をまとめた。
自民党などに道州首長を道州議員の中から選ぶ「議院内閣制」を求める意見がある中で、それとは対照的な「地方大統領制」の選択として支持したい。
私たち地方紙と違い、この中間報告を取りまとめ翌日に取り上げた東京紙(全国紙)はなかった。だが、明治以来の地方制度の改革にかかわることだ。ここはきちんと触れておきたい。
特に、机上の制度設計を先行させないためにも、道州首長の公選という直接民主主義の前提として、道州の住民自治の在り方を考えておく必要がある。
道州首長の公選は、小選挙区制とセットで全国を11ブロックに分けた衆院の比例代表選にイメージが近いかもしれない。
しかし、衆院比例代表の当選議員を「地域代表」と認める有権者は大半ではあるまい。各ブロックは選挙制度上の区割りとして割り当てられたもので、地域や地方が下から積み上げて決めたわけではないからだ。
また、道州制の導入後に旧県意識が色濃く残れば、道州首長選は実質的に各県代表が対抗する“我田引水”型の戦いに矮小化(わいしょうか)してしまう恐れもある。
硬直化が進む都道府県制度の変革を目指すのが道州制だ。その首長選びがこれでは困る。
道州首長を皆が納得できる地域代表として公選するには、道州を支える住民自治が一定の成熟レベルに達していることが不可欠の条件になるのだろう。
都道府県という単位で見ると、さまざまな分野で住民団体が活動しており、目覚ましい成果を挙げているケースもある。
しかし、国と市町村の間の「中2階」と揶揄(やゆ)される都道府県の行政が住民活動に十分対応できるだけの組織的な仕組みを整えているかというと、否定的な見方の方が多い。
住民組織や地域コミュニティーの活動が行政や地域経済とかみ合い、きめ細かな地方自治の果実を期待できるのはやはり市町村単位ではないだろうか。
だとすれば、道州内の市町村の連携とネットワーク化が道州自治の息の長いレベルアップに貢献することになろう。
例えば、東北における仙台市と山形市の「仙山圏交流」のように、県境を越えた連携が行政や経済界だけでなく住民レベルでも活発化すれば、旧県意識はおのずから薄れていくはずだ。
基礎的自治体と呼ばれる市町村の住民の連携が「線」から「面」に広がっていけば、多様性のあるネットワークが道州自治を支えることになる。
人口減少時代、市町村の定住住民による自治活動は何かと難題に直面することが多くなった。しかし、経済活動の広域化などで交流住民は増えている。
求められるのは“よそ者”を地域に受け入れる寛容さと他の町の活動にも参加していく積極性だ。定住型住民自治から交流型住民自治への転換を道州自治の新たな形として提案したい。」
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